PROJECT 特集

技術と人の力で、未来を拓く。キャステムのCSR
「CSR」という言葉をご存じでしょうか。
CSRは「Corporate Social Responsibility」の略称であり、企業が社会に対して果たすべき役割や責任を指します。キャステムでは、金属部品製造で長年培ってきた多様な技術や組織の革新を通じ、社会をよりよくするための活動を続けています。
技術を活かした平和・人材育成・地域課題の解決に向けた取り組みや、女性活躍推進を軸に「誰もが安心して働ける職場づくり」など、キャステムならではのCSRをご紹介します。
技術によるCSR

■技術で受け継ぐ平和への祈り
今から80年前の1945年8月6日、広島に原子爆弾が投下され、多くの尊い命が奪われました。「原爆の子の像」のモデルとなった佐々木禎子さんも2歳で被爆し、10年後に白血病を発症。「生きたい」という願いを込めて病床で折り鶴を折り続けましたが、12歳の若さでその生涯を終えました。
キャステムでは、禎子さんが生前最後に折った折り鶴を「平和への願いの象徴」として後世に伝えるべく、精密鋳造技術で金属化するプロジェクトを立ち上げました。
キャステムでは、禎子さんが生前最後に折った折り鶴を「平和への願いの象徴」として後世に伝えるべく、精密鋳造技術で金属化するプロジェクトを立ち上げました。

「広島に本社を置く企業として、折り鶴を通じて平和を発信したい」。そんな思いから、2021年に禎子さんのご遺族の協力を得て、紙ゆえに保存が難しい折り鶴を金属として残す挑戦がスタートしました。3Dスキャンや3Dプリントといった最新のデジタル技術と精密鋳造を掛け合わせ、ステンレス製の「SADAKO」(縦7mm×横23mm×高さ13mm)を製品化しました。

平和への願いを込めたこの「SADAKO」は、2023年にG7広島サミットで各国首脳に贈呈されたほか、2024年にはローマ教皇に、2025年には禎子さんの甥・佐々木祐滋氏によって米国のオバマ元大統領にも届けられました。世界中の人々の手に渡ることで、平和や核兵器廃絶に向けたヒロシマの切なる願いが広がることを期待しています。
「SADAKO」は広島市の広島平和記念資料館やおりづるタワー、東京・日本橋のキャステム直営店「metamate(メタマテ)」のほか、オンラインショップでも販売。
https://www.ironfactory-castem.com/SHOP/RO10028.html
売り上げの一部をNPO法人「SADAKO LEGACY」に寄付しています。
「SADAKO」は広島市の広島平和記念資料館やおりづるタワー、東京・日本橋のキャステム直営店「metamate(メタマテ)」のほか、オンラインショップでも販売。
https://www.ironfactory-castem.com/SHOP/RO10028.html
売り上げの一部をNPO法人「SADAKO LEGACY」に寄付しています。

■技術で紡ぐ、持続可能な「美」のカタチ
2023年に誕生したキャステム発のジュエリーブランド「KOHKOH」は、真珠養殖の過程で通常は廃棄される真珠母貝を美しいジュエリーに生まれ変わらせています。「素材を無駄にしないものづくり」で、サステナブルな社会の実現を目指しています。

さらに3Dプリント技術を使い、「真珠は丸い」との常識にとらわれない自由形状の真珠養殖を可能にしました。機械加工技術によって、わずか0.12㎜のレイヤーが見えるように緻密に彫ったカメオなど、現代だからこそ実現できるジュエリーを次々と発表しています。
日本最大級のデザイナーズジュエリーイベント「New Jewelry TOKYO 2024」では、べストジュエリー賞・オーディエンス賞をW受賞。2025年の同イベントでは、ボルネオ島の森林保全を目的とした企画に参加し、SDGsを意識したブランドとして認知を高めています。
日本最大級のデザイナーズジュエリーイベント「New Jewelry TOKYO 2024」では、べストジュエリー賞・オーディエンス賞をW受賞。2025年の同イベントでは、ボルネオ島の森林保全を目的とした企画に参加し、SDGsを意識したブランドとして認知を高めています。

■地域共生 ―“技”で未来を育む―
キャステムの技術の活用による人材育成の取り組みもご紹介します。
・紙ヒコーキ事業で次世代教育
キャステムの戸田拓夫社長は、折り紙ヒコーキ滞空時間のギネス世界記録保持者(29.2秒)。キャステムではその知見や経験を活かし、折り紙ヒコーキを通じた次世代教育に取り組んでいます。
戸田社長が手がけたオリジナル紙ヒコーキを多数展示する「紙ヒコーキ博物館」(福山市)と、折り紙ヒコーキを飛ばすために建てられた「とよまつ紙ヒコーキ・タワー」(神石高原町)の運営・管理を担い、紙ヒコーキのワークショップや各種イベント・大会も開催。折るだけで作れる紙ヒコーキを通じ、航空科学の仕組みや挑戦する面白さを体験できる場を提供し、未来の技術者の芽を育てています。
・紙ヒコーキ事業で次世代教育
キャステムの戸田拓夫社長は、折り紙ヒコーキ滞空時間のギネス世界記録保持者(29.2秒)。キャステムではその知見や経験を活かし、折り紙ヒコーキを通じた次世代教育に取り組んでいます。
戸田社長が手がけたオリジナル紙ヒコーキを多数展示する「紙ヒコーキ博物館」(福山市)と、折り紙ヒコーキを飛ばすために建てられた「とよまつ紙ヒコーキ・タワー」(神石高原町)の運営・管理を担い、紙ヒコーキのワークショップや各種イベント・大会も開催。折るだけで作れる紙ヒコーキを通じ、航空科学の仕組みや挑戦する面白さを体験できる場を提供し、未来の技術者の芽を育てています。

・地元ものづくり企業と連携した「ワザワングランプリ」
「ワザワングランプリ」とは、折り紙ヒコーキやベーゴマ・めんこ・ビー玉・紙とんぼで技を競い、チャンピオンを決める「子どもの遊びの祭典」です。キャステムを含む備後地方のものづくり技術系企業が中心となり、将来を担う活気溢れる人材育成を目指して2008年から開いています。新型コロナウイルス禍で一時中断したものの毎年開催し、今年で15回目を迎えました。
ゲーム機やスマートフォンでの遊びが普及する中、小学生以下の子どもたちが自らの手で工夫を重ねて競技に挑むことで、ものづくりに大切な「工夫する力」や「技を磨く姿勢」を育むことを目指しています。
「ワザワングランプリ」とは、折り紙ヒコーキやベーゴマ・めんこ・ビー玉・紙とんぼで技を競い、チャンピオンを決める「子どもの遊びの祭典」です。キャステムを含む備後地方のものづくり技術系企業が中心となり、将来を担う活気溢れる人材育成を目指して2008年から開いています。新型コロナウイルス禍で一時中断したものの毎年開催し、今年で15回目を迎えました。
ゲーム機やスマートフォンでの遊びが普及する中、小学生以下の子どもたちが自らの手で工夫を重ねて競技に挑むことで、ものづくりに大切な「工夫する力」や「技を磨く姿勢」を育むことを目指しています。

■技術を活かした共創・地域課題解決
キャステムでは、他機関と協力した共創によるものづくりや、地域課題の解決に向けた取り組みも進めています。医療機関や大学と連携し、医療・介護・健康支援ツールの開発を推進。人の健康と安心を支えるものづくりにも挑戦しています。また、遊休地や地域資源を活かし、地元農業の支援や、雇用創出を目指すアグリ事業も展開。広島県神石高原町でイチゴ、沖縄県宮古島市でミニトマトを栽培し、IоTを活用した新しい農業モデルを模索。地方創生に寄与するCSR型ビジネスの一環として取り組みを進めています。
女性・若手の活躍推進―誰もが働きやすい職場づくり

■製造業が抱える課題
キャステムの職場づくりについてご紹介する前に、国内製造業の現状を見ていきましょう。2025年版ものづくり白書記載の業績判断DIによると、国内製造業は新型コロナウイルス禍で共に大打撃を受けた後、大企業では回復傾向にありましたが、2025年3月調査では悪化に転じました。中小企業では、足元で徐々に改善に転じたものの2018年ごろの水準には戻っていません。
※2025年版ものづくり白書より
※業績判断DI…企業の収益を中心とした業況についての全般的な判断を示すものであり、業況が良い と判断した企業数から業況が悪いと判断した企業数を引いて算出
事業環境に影響を及ぼす要因として、「原材料価格(資源価格)の高騰」「エネルギー価格の高騰」に次いで、「労働力不足」を挙げる事業者が約6割にのぼります。また、製造業の心臓部ともいえる「技能」の継承の課題も。
能力開発や人材育成に関する問題点として、6割以上の事業所が「指導する人材が不足している」ことを挙げています。また、生産計画の都合で勤務の柔軟性が確保しづらいことも、離職や人材不足の一因とされています。
※2025年版ものづくり白書より
※業績判断DI…企業の収益を中心とした業況についての全般的な判断を示すものであり、業況が良い と判断した企業数から業況が悪いと判断した企業数を引いて算出
事業環境に影響を及ぼす要因として、「原材料価格(資源価格)の高騰」「エネルギー価格の高騰」に次いで、「労働力不足」を挙げる事業者が約6割にのぼります。また、製造業の心臓部ともいえる「技能」の継承の課題も。
能力開発や人材育成に関する問題点として、6割以上の事業所が「指導する人材が不足している」ことを挙げています。また、生産計画の都合で勤務の柔軟性が確保しづらいことも、離職や人材不足の一因とされています。

■製造業と女性活躍
人手不足や人材不足を課題として挙げる事業者が目立つ一方で、製造業における女性の参入は進んでいません。全産業の従業員に占める女性割合は2003年の41.1%から2023年には45.2%と上昇しているのに対し、製造業は2003年が33.4%→23年は30.0%と減少し、近年も横ばい状態が続いています。
※2024年版ものづくり白書より
背景には以下のような要因が挙げられます。
・重量物の扱いなど、業務負荷の大きさ
・女性管理職の少なさによるキャリアモデル不足
・設備や労働環境面での課題
・シフトの柔軟性不足―など
※2024年版ものづくり白書より
背景には以下のような要因が挙げられます。
・重量物の扱いなど、業務負荷の大きさ
・女性管理職の少なさによるキャリアモデル不足
・設備や労働環境面での課題
・シフトの柔軟性不足―など

■誰もが働きやすい職場へ現場の改善
キャステムではこうした課題を乗り越えるべく、男女ともに働きやすい職場環境の整備を進めています。

製造現場では鋳造工程などの重量作業の負荷を抑えるべく、パワーアシスト機器・治具を導入。作業負担を軽減することで、身体的な負担が大きいとされる鋳造現場でも女性が活躍しています。また、作業内容の整理・標準化・見える化
によって、かつてはベテラン社員しか担当できなかった業務を再設計。若手でも担当できる工程に改善しました。
によって、かつてはベテラン社員しか担当できなかった業務を再設計。若手でも担当できる工程に改善しました。

さらに、明るく清潔な工場づくりにも力を入れています。特に社員食堂はカフェテリアを思わせる開放的な空間となっており、社員同士の交流の場としても活用されています。
栄養バランスの整った食事を1食250円で提供し、物価高の中でも気軽に利用できるよう配慮。託児所利用中の子どもと保護者が一緒に食事できるなど、子育て中の社員にも利用しやすい環境を整えています。
栄養バランスの整った食事を1食250円で提供し、物価高の中でも気軽に利用できるよう配慮。託児所利用中の子どもと保護者が一緒に食事できるなど、子育て中の社員にも利用しやすい環境を整えています。

■ライフステージに合わせて働ける仕組みづくり
また、ライフステージに応じて柔軟に働ける仕組みづくりも進めています。
例えば時短勤務制度では、出退勤の時間を個々の事情に応じて選択可能に。産前産後休暇や育児休業からの復帰に際しては、配置調整や復帰前面談を実施し、0~2歳児が利用できる託児所も完備しました。子育て中の従業員が安心して働き続けられるようサポートしています。
また、2時間単位での有給休暇取得が可能で、取得できなかった有休は無期限で蓄積。長期療養や介護など、「万が一」に備えられます。
例えば時短勤務制度では、出退勤の時間を個々の事情に応じて選択可能に。産前産後休暇や育児休業からの復帰に際しては、配置調整や復帰前面談を実施し、0~2歳児が利用できる託児所も完備しました。子育て中の従業員が安心して働き続けられるようサポートしています。
また、2時間単位での有給休暇取得が可能で、取得できなかった有休は無期限で蓄積。長期療養や介護など、「万が一」に備えられます。

■社員が成長し続けるキャリア・育成支援
性別や年代に関わらず、一人一人の社員の成長とキャリア形成も後押ししています。
・経営陣に直接提案できる独自の仕組み!女性会議・年代別会議
女性会議は、社長、専務などの経営陣に、直接意見を届けられるキャステム独自の会議です。年齢や部署を超え女性のみが集まり、働き方や制度改善などについて率直な思いを経営陣にぶつけ、意見交換を行います。また、年代ごとに集った社員が同様に経営陣に意見を伝える「年代別会議」も定期的に実施しています。
・女性・若手リーダーの育成と登用の推進
女性が現場改善リーダーや管理職として活躍できるように、OJT、役割付与、プロジェクト参画など、挑戦の機会を提供。また、若手・中堅社員を対象としたマネジメント研修や外部講座、リーダーシップ教育を通じ、次世代管理職育成を進めています。
・スキルアップを支える資格・学習支援
専門技術の取得や・品質管理・技能検定など、業務に必要な資格取得や学習のための費用を会社が継続的に支援し、キャリア形成につながる制度を整備しています。
・経営陣に直接提案できる独自の仕組み!女性会議・年代別会議
女性会議は、社長、専務などの経営陣に、直接意見を届けられるキャステム独自の会議です。年齢や部署を超え女性のみが集まり、働き方や制度改善などについて率直な思いを経営陣にぶつけ、意見交換を行います。また、年代ごとに集った社員が同様に経営陣に意見を伝える「年代別会議」も定期的に実施しています。
・女性・若手リーダーの育成と登用の推進
女性が現場改善リーダーや管理職として活躍できるように、OJT、役割付与、プロジェクト参画など、挑戦の機会を提供。また、若手・中堅社員を対象としたマネジメント研修や外部講座、リーダーシップ教育を通じ、次世代管理職育成を進めています。
・スキルアップを支える資格・学習支援
専門技術の取得や・品質管理・技能検定など、業務に必要な資格取得や学習のための費用を会社が継続的に支援し、キャリア形成につながる制度を整備しています。
多様な人材が活躍し、誰もが安心して働きキャリアアップできる職場のモデルをつくることで、製造業全体の人手不足解消にもプラスの波及効果を生み出したいと考えています。
キャステムはこれからも、社是である「もう半歩」の精神のもと、技術と組織の革新を通じて社会に貢献してまいります。