PROJECT 特集

【アート×デジタルキャスト】現代美術家・野田正明氏と共同制作した作品が完成
キャステムは、NYを拠点に世界で活躍する現代美術家・野田正明氏の新作「ネプチューン」の制作に全面協力しました。
野田氏にとっても「挑戦」だったという3Dスキャンデータを活用した作品づくり。
3Dプリンターを使った最新の鋳造技術とアートの可能性を、共に追求しました。
6月4日、福山市中央図書館に設置が完了しました。(写真左が野田氏)
野田氏にとっても「挑戦」だったという3Dスキャンデータを活用した作品づくり。
3Dプリンターを使った最新の鋳造技術とアートの可能性を、共に追求しました。
6月4日、福山市中央図書館に設置が完了しました。(写真左が野田氏)
ガラス作品を基にした神秘的な造形の「ネプチューン」

うねるような流体が織りなす、力強くも優美な造形。
磨き上げられた表面に映り込む水面やレンガ造りの美しさ…。
図書館に訪れた来館者たちは思わず足を止め、その作品にじっと見入ります。
3Ⅾプリンターを活用した鋳造技術「デジタルキャスト」で作り上げた
「ネプチューン」は、高さ50㎝、幅33㎝のステンレス製。
御影石の台座と合わせると全体の高さは約1mです。
階段状の滝(カスケード)の最上段に設置されるため、耐食性の高い二相系ステンレスを使用。海神である「ネプチューン」の名が付けられました。
磨き上げられた表面に映り込む水面やレンガ造りの美しさ…。
図書館に訪れた来館者たちは思わず足を止め、その作品にじっと見入ります。
3Ⅾプリンターを活用した鋳造技術「デジタルキャスト」で作り上げた
「ネプチューン」は、高さ50㎝、幅33㎝のステンレス製。
御影石の台座と合わせると全体の高さは約1mです。
階段状の滝(カスケード)の最上段に設置されるため、耐食性の高い二相系ステンレスを使用。海神である「ネプチューン」の名が付けられました。
制作の経緯

野田氏が4年ほど前に福山市内のガラス工芸作家を訪ねた際、飴細工のようにガラスを扱う途中で床にぽたりとたれ落ちたガラスを目にしました。偶然生まれた形に面白さを感じ、構想を温めていたそうです。
昨年秋、図書館に設置していた作品を一新することが決まり、
過去に個展の作品制作にご協力した縁などから、キャステムに制作依頼をいただきました。
ガラス作品を3Dスキャンし、3Dデータを基に打ち合わせを重ねました。
昨年秋、図書館に設置していた作品を一新することが決まり、
過去に個展の作品制作にご協力した縁などから、キャステムに制作依頼をいただきました。
ガラス作品を3Dスキャンし、3Dデータを基に打ち合わせを重ねました。

ガラス特有の凹凸や角度を微修正。サイズも元のモデルの約5倍に拡大しました。
野田氏は「ガラスではなく金属だからこそ、このサイズ・形で作ることができた。(3Dスキャンした)原型がコンピューターの中にあって、そこから自分の解釈を入れられるのが面白い。アクシデントから生まれた作品だったが、変革に添うことで可能性が広がった」と語ります。
野田氏は「ガラスではなく金属だからこそ、このサイズ・形で作ることができた。(3Dスキャンした)原型がコンピューターの中にあって、そこから自分の解釈を入れられるのが面白い。アクシデントから生まれた作品だったが、変革に添うことで可能性が広がった」と語ります。

3Dプリンターでモデルを制作し、耐食性の高い二相系ステンレス「SCS11」で鋳造。
SCS11はオーステナイト・フェライト系(二相系)のステンレス鋳鋼品。耐酸性や耐孔食性、耐応力腐食割れ等に優れた、高強度材料です。海水に強く、硫酸や水酸化ナトリウムなどに対しても強度・耐磨耗性が優れた材料で、海水ポンプや産業機械部品などに用いられています。
手作業で丁寧に鏡面仕上げをし、見る角度によって表情や映る世界が変わる、神秘的な作品が完成しました。
SCS11はオーステナイト・フェライト系(二相系)のステンレス鋳鋼品。耐酸性や耐孔食性、耐応力腐食割れ等に優れた、高強度材料です。海水に強く、硫酸や水酸化ナトリウムなどに対しても強度・耐磨耗性が優れた材料で、海水ポンプや産業機械部品などに用いられています。
手作業で丁寧に鏡面仕上げをし、見る角度によって表情や映る世界が変わる、神秘的な作品が完成しました。

新たな表現に向け、常に挑戦を続ける野田氏。
今回の新作を「シリーズの第1号」とし、ガラス作品を基にした作品制作を続ける予定とのことです。
来年秋にNYで予定されている個展で披露される予定です。
3Ⅾプリントモデルを使ったデジタルキャストの鋳造


今回活用したキャステムの鋳造技術「デジタルキャスト®」は、3Dプリンターで樹脂模型を制作し、それを原型としてロストワックス同様の流れで金属製品を制作する方法です。
鋳造品を金型なしで1個から作ることができ、企業様にとって開発や試作にもメリットがあるご提案をしています。オーダーメイドの特注品の制作も承っており、個人や地域のお客様の依頼にも対応してきました。
鋳造品を金型なしで1個から作ることができ、企業様にとって開発や試作にもメリットがあるご提案をしています。オーダーメイドの特注品の制作も承っており、個人や地域のお客様の依頼にも対応してきました。
野田氏とキャステム

2022年に開催された高梁市成羽美術館での個展に合わせて依頼をいただき、作品2点の制作に協力。
その後、キャステム本社正門前のモニュメント【颯翔(はやと)】を制作していただきました。
颯翔は、「大きく飛翔する夢のある企業でありたい」というキャステムの思いを象徴するものとなっています。キャステムでは現在、野田氏の作品をモチーフにしたグッズ制作にも取り組んでいます。
その後、キャステム本社正門前のモニュメント【颯翔(はやと)】を制作していただきました。
颯翔は、「大きく飛翔する夢のある企業でありたい」というキャステムの思いを象徴するものとなっています。キャステムでは現在、野田氏の作品をモチーフにしたグッズ制作にも取り組んでいます。
野田氏コメント

これまでの計算しつくした作品とはまた違う、手加減、フィーリングで原型を作った作品。
ピカピカに磨き上げることで反射し、外の空間と一体化する。
見る角度によって形状が違い、予定調和ではないこのいびつさが面白い。
観る人の芸術への興味の有無にかかわらず、作品が一つのエンターテイメント性をもって空間を彩るものになってほしい。キャステムが持っているテクノロジーやアイディアが合致してアートとの新たなコラボができているというのは、今までで類を見ないようなあり方だと思う。
今後、キャステムにとってもとんでもないものを、一緒に造ることができると確信している。
ピカピカに磨き上げることで反射し、外の空間と一体化する。
見る角度によって形状が違い、予定調和ではないこのいびつさが面白い。
観る人の芸術への興味の有無にかかわらず、作品が一つのエンターテイメント性をもって空間を彩るものになってほしい。キャステムが持っているテクノロジーやアイディアが合致してアートとの新たなコラボができているというのは、今までで類を見ないようなあり方だと思う。
今後、キャステムにとってもとんでもないものを、一緒に造ることができると確信している。
野田氏略歴
1949年、広島県福山市新市町出身。1972年大阪芸術大学美術科卒業。77年、ニューヨークに渡る。半世紀にわたりニューヨークを中心に世界各地で個展やグループ展を開催、彫刻モニュメント設置などアートによる文化交流を続ける。2017年、春の叙勲・紺綬褒章受賞。第38回広島文化賞受賞。地元・福山市でもランドマークとなるパブリックアートの設置を続け、2024年、市内で15カ所目のモニュメントとしてキャステム本社前に【颯翔】を設置した。アテネと島根県松江市に小泉八雲に関する姉妹彫刻を設置するなど、ギリシャとの30年に及ぶ交流を続け、2023年、ギリシャ大統領から「名誉勲章金十字章」を授与された。